『赤と青のガウン』は、女性皇族として初めて海外で博士号を取得された三笠宮彬子女王の貴重な留学記録です。
初版は2015年1月16日にPHP研究所からB6判上製本として刊行され、2024年4月3日に文庫版が発売されました。SNSで大きな反響を呼んでいる注目の一冊ですが、なぜこれほどまでに多くの読者の心を掴んでいるのでしょうか。
その理由は、本書が単なる皇族の留学記ではなく、研究者としての真摯な姿勢と、等身大の若者としての苦悩や成長が率直に綴られているからです。オックスフォード大学での6年間、厳格な指導教授との格闘、研究の苦しみ、そして友人との出会いや別れ。それらすべてが、飾らない言葉で描かれています。
・女性皇族として初の海外博士号取得までの道のり
・日本美術研究への情熱と、大英博物館での貴重な発見
・エリザベス女王との謁見など、皇族ならではの経験
・一般の留学生と同じように過ごした日常生活の様子
「赤と青のガウン」(彬子女王)、読了。
こんなにもワクワクしたりクスッとしたり涙が出るエッセイも初めて。
オックスフォードでのご留学の日々、皇族としての立場と日常とご家族のこと、研究者としての奮闘を、赤裸々にテンポの良い読みやすい文章で綴られている。心に染みる。#読書 #エッセイ pic.twitter.com/XGwS6TJRLs— ヤマト3104 (@yamato888cat) November 9, 2024
特筆すべきは、皇族という特別な立場でありながら、研究に打ち込む一人の若者としての姿が、ユーモアを交えながら生き生きと描かれている点です。格安航空券での移動や、現地スーパーでの買い物など、等身大のエピソードにも、読者は強く共感しているのだと思います。
夢に向かって挑戦することの素晴らしさと、それを支える人々との出会いの大切さを教えてくれる本書を、ぜひ手に取ってみてください。
話題のベストセラー『赤と青のガウン』とは
2024年4月、PHP文庫から刊行された『赤と青のガウン』は、SNSで大きな反響を呼び、多くの読者の心を掴んだ注目の一冊です。女性皇族として初めて海外で博士号を取得された彬子女王が、オックスフォード大学での留学生活を綴った貴重な記録として話題を集めています。
文庫化への道のり
2015年に単行本として初刊行
2023年にSNSで大きな反響
読者からの強い要望で文庫化が実現
本書は当初、2015年1月に単行本として刊行されましたが、2023年5月にSNSで「プリンセスの日常が面白すぎる」という投稿が話題となり、多くの読者の目に留まることになりました。その結果、品切れが続く事態となり、待望の文庫化が実現しました。
彬子女王のプロフィール
1981年、三笠宮寛仁親王の第一女子としてご誕生
学習院大学文学部史学科をご卒業
2010年に女性皇族初の博士号を取得
彬子女王は、「ヒゲの殿下」の愛称で親しまれた故寛仁親王の長女として、1981年12月にご誕生されました。学習院大学在学中の2001年に1年間、そして卒業後の2004年から5年間、オックスフォード大学マートン・カレッジでご留学され、日本美術の研究で博士号を取得されています。
彬子女王の現在の活動と役割
立命館大学や京都市立芸術大学で教鞭
日本文化研究の第一線で活躍
次世代への日本文化伝承に尽力
彬子女王は現在、京都を拠点に、大学での研究・教育活動に加え、一般社団法人心游舎の総裁として、日本の伝統文化を次世代に伝える活動に力を注いでいます。また、日本・トルコ協会の総裁など、多くの要職を務められ、文化交流の架け橋としても重要な役割を果たしています。
彬子女王がオックスフォード留学で出会った人々
#読了
彬子女王「赤と青のガウン」
Twitter発で今話題の宮様の留学記
特に意図した風でもないのに柔らかでユーモアを感じる文章なのはお人柄なのか
また、ところどころ日英の風俗比較があるが、出羽守がよくやる一方を持ち上げる為にもう一方を貶す書き方をしていないのはさすが皇族と思った pic.twitter.com/puhamMUi1B— ねこ(ベルンの山岳犬) (@sangomaomomo) October 13, 2024
オックスフォード大学での6年間、彬子女王は多くの出会いを通じて研究者として、そしてひとりの人間として大きく成長されました。厳しい指導者との出会いや、生涯の友となる仲間たち、そして歴史に残る貴重な出会いまで、留学生活で得られた人々との絆を紹介します。
大学での師弟関係
マートン・カレッジでの研究生活の中心となったのが、指導教授のジェシカ・ローソン先生との出会いでした。最も厳格な教授として知られる先生の下で、彬子女王は幾度となく論文の書き直しを命じられます。
厳格な指導で知られるジェシカ・ローソン教授
マートン・カレッジのティム・ガートン=アッシュ学長
個別指導を行うチューターたち
時には厳しすぎる指導に胃炎を患うこともありましたが、その真摯な指導は彬子女王の研究者としての基礎を築き上げることになりました。また、ティム・ガートン=アッシュ学長は、彬子女王の研究テーマに深い理解を示し、適切なアドバイスを与え続けてくれる心強い存在でした。
かけがえのない友人たち
研究の苦しみを分かち合い、異国での生活を支え合った友人たちとの出会いは、彬子女王の留学生活に大きな彩りを添えました。特に印象的だったのは、ある友人夫妻との深い絆です。
研究を支え合った同期生たち
名付け親を務めた友人家族
生活面でサポートしてくれた寮の仲間たち
その夫妻の第一子の名付け親を務めることになった彬子女王は、皇族という立場を超えて、まるで家族のような親密な関係を築くことができました。また、エリザベス女王との二人きりのアフタヌーン・ティーという稀有な経験も、オックスフォードでの人脈があってこそ実現した特別な出来事でした。
お茶会では緊張のあまり、どんな会話をしたのかほとんど覚えていません。
そう振り返る彬子女王のエピソードからは、等身大の若い研究者の姿が垣間見えます。
研究活動を通じた出会い
日本美術の研究を進める中で、彬子女王は数々の専門家との出会いに恵まれました。中でも、世界的な日本美術コレクターとして知られるジョー・プライス夫妻との出会いは、研究に新たな視座をもたらす転機となりました。
世界的な日本美術コレクター、ジョー・プライス夫妻
大英博物館の学芸員たち
各国の日本美術研究者たち
プライス夫妻は「作者の名前にこだわりすぎるのは、目の前の作品に失礼だ」という独自の芸術観を持ち、その考え方は彬子女王の研究姿勢にも大きな影響を与えました。
また、大英博物館での調査中には、法隆寺金堂壁画の貴重な写しを発見するという幸運な出会いもありました。1949年の火災で失われた原画の姿を今に伝えるこの発見は、まさに研究者冥利に尽きる体験だったといいます。
こうした多様な出会いは、単なる研究上の縁に留まらず、彬子女王の人生観や価値観を豊かにする貴重な財産となりました。留学生活で築かれた絆の多くは、現在も途切れることなく続いているそうです。
オックスフォードでの6年間の軌跡
『赤と青のガウン』
彬子女王殿下の英国留学奮闘記。
記されたきっかけも成年皇族としての務めとして、皆にどんなことを海外で学んで来たのかを知らせる〚義務〛がある。という、お父上との関係性もまた、読んでいて楽しくあった。
⬇️ pic.twitter.com/uPk1W5CMAf— 靜月桜香🪷🐺🦅🌤️🎞🫧 (@tohka_uktn) November 6, 2024
彬子女王のオックスフォード大学での留学は、2001年の1年間と2004年からの5年間の計6年に及びます。初めは一人で街を歩くことさえ経験のなかった彬子女王が、異国の地で学問を追求し、ついには博士号を取得するまでの道のりを紹介します。
留学の始まり – 新しい世界への一歩
2001年、学習院大学在学中に初めてオックスフォード大学を訪れた彬子女王。それまでは常に側衛を伴う生活を送られていた彬子女王にとって、EU圏内での一人暮らしは、まさに未知の体験でした。
生まれて初めての一人暮らし
英語での授業に苦戦
異文化への戸惑いと発見
最初の数週間は英語の授業についていくことすら困難で、部屋に逃げ帰って涙を流すこともあったといいます。しかし、その経験が後の本格的な留学生活への強い動機となりました。
当時を振り返り、彬子女王は
初めは自分の無力さに落ち込むことも多かったのですが、周りの親切な方々に支えられ、少しずつ自信を持てるようになりました。
…と語っています。格安航空券で移動したり、現地のスーパーで買い物をしたりと、一般の留学生と同じような生活を送る中で、新しい発見の連続だったそうです。
博士課程での挑戦
2004年、再びオックスフォードの地を踏んだ彬子女王。今度は明確な目標を持って、本格的な研究生活が始まりました。研究テーマは「19世紀末から20世紀にかけて、西洋人が日本美術をどのように見ていたか」という、日本美術の受容に関する研究です。
マートン・カレッジでの研究生活
大英博物館での調査活動
国際学会での発表
研究生活は想像以上に厳しいものでした。週に一度のチュートリアルでは、事前に400字詰め原稿用紙30枚分ほどのエッセイを英語で書き上げなければなりません。指導教授との一対一の議論は、まさに真剣勝負。準備が不十分な場合は容赦なく指摘され、時には完全な書き直しを命じられることも。
論文を書くために必要な資料を見つけては読み、読んでは書き、その繰り返しの日々でした。時には体調を崩すこともありましたが、それも今となっては懐かしい思い出です。
…と、当時を振り返られています。
博士号取得までの道のり
5年間の研究生活の集大成として、ついに博士論文の執筆に取り掛かります。これは彬子女王にとって、最も困難な挑戦となりました。
数度の論文書き直し
厳しい口頭試問
念願の学位授与式
論文執筆中は「博士論文性胃炎」と呼ばれる症状に悩まされながらも、諦めることなく研究を続けられました。特に印象的だったのは、大英博物館で発見された法隆寺金堂壁画の写しに関する研究です。この発見は、彬子女王の研究に新たな展開をもたらしました。
そして2010年、ついに博士号取得の日を迎えます。赤と青のガウンを身にまとい、シェルドニアン・シアターでの学位授与式に臨んだ時の感動を、彬子女王は次のように語っています。
これまで何人もの友人が、この赤と青のガウンを着て卒業していくのを見送ってきました。自分が着る日が来るのを夢見ながら、毎日研究を続けてきたのです。ついにその日を迎えられた時は、言葉では言い表せないほどの喜びを感じました。
博士号取得は、女性皇族として初めての快挙でした。しかし彬子女王は、それ以上に一研究者としての達成感を大切にされているようです。
彬子女王の人間性の魅力
『赤と青のガウン』読了
話題になっているからと購入し読み始めたがあまりにも住む世界が違うことにしばらく読むことを止めてしまっていた それが長時間電車での移動をすることになった時再度読んでみるとスーッと頭に入ってきた 現状維持で良いと思ってしまっている自分に気合を入れてくれた pic.twitter.com/v8y4LL4Rnc— さくら (@torasanganbare) November 8, 2024
『赤と青のガウン』の最大の魅力は、皇族でありながら等身大の姿で描かれる著者の人間性です。研究者としての真摯な姿勢と、皇族という特別な立場ながら飾らない人柄が、読者の心を掴んで離しません。
研究者としての姿勢
彬子女王の研究に対する情熱は、留学記の随所に表れています。日本美術という研究テーマの選択にも、深い思いが込められていました。
日本美術の価値を世界に伝えたいという使命感
困難に直面しても諦めない強い意志
新しい発見への飽くなき探究心
特に印象的なのは、大英博物館での調査活動です。膨大な資料の中から法隆寺金堂壁画の写しを発見した際のエピソードからは、研究者としての鋭い観察眼と、日本美術への深い愛情が感じられます。
日本美術を研究するために、なぜ海外の大学に行くのかと問われることもありました。しかし、海外に流出した日本美術品の研究は、むしろ現地でこそ可能になるのです
…という言葉からは、研究に対する確固たる信念が伝わってきます。
皇族としての人間性
本書の大きな特徴は、皇族という特別な立場にありながら、筆者の等身大の姿が描かれている点です。
素直な感情表現と謙虚な姿勢
周囲への感謝の気持ち
ユーモアのある文章力
たとえば、エリザベス女王とのお茶会で緊張のあまり何を話したか覚えていないエピソードや、格安航空券で移動中に遭遇したハプニング、外交旅券を提示して空港職員に怪しまれた出来事など、ユーモアを交えた描写が随所に見られます。
また、父である故寛仁親王との思い出を綴った章からは、皇族という立場を超えた、深い親子の絆が伝わってきます。父からの励ましの手紙を大切に持ち歩いていたエピソードは、多くの読者の心を打つ場面となっています。
文章力と表現力
本書の魅力のひとつは、読者を惹きつける優れた文章力です。
読みやすい文章と巧みな表現力
適度な緊張感とユーモアのバランス
丁寧な説明と心温まるエピソード
研究生活の苦労を、決して大げさにドラマチックに描かず、淡々と、しかし読者の心に響く形で描写する技術は見事です。また、イギリスの大学生活や文化の違いについても、初めて知る読者にも分かりやすく説明されています。
私の経験は特別なものかもしれません。しかし、誰にでも夢を追いかける権利があり、それを実現させる可能性があると信じています。
…という言葉には、読者への深い思いやりが感じられます。
読者からの反響と評価
『赤と青のガウン』は、SNSでの話題をきっかけに多くの読者の支持を集め、文庫化後も重版を重ねています。皇族の方の日常を知る貴重な機会として、また留学体験記として、さまざまな角度から高い評価を受けています。
各方面からの高評価
本書は、一般読者から研究者まで、幅広い層から支持を得ています。特に注目を集めている点は
読みやすい文体と構成
皇族の等身大の姿
研究活動の臨場感
「最初は皇族の方の本だからと身構えていましたが、とても親しみやすい文章で一気に読み終えました」という感想に代表されるように、堅苦しさを感じさせない文体は、多くの読者から支持されています。
また、留学生活での苦労や失敗談を包み隠さず描写する姿勢に、「これまで遠い存在だと思っていた皇族の方を身近に感じられた」という声も多く寄せられています。
学術関係者からの評価
研究者としての側面も、高く評価されています。
日本美術研究への真摯な姿勢
海外での研究活動の実態
文化交流の重要性
特に、日本美術の研究を海外で行う意義について、具体的なエピソードを交えながら説明している点は、学術関係者からも高い評価を受けています。大英博物館での調査活動や、各国の研究者との交流は、国際的な文化研究の現場を生き生きと伝えています。
社会的意義
本書の出版は、単なる留学記としての価値を超えた、さまざまな意義を持つものとして認識されています。
女性の可能性を広げる先駆的な存在
日本文化研究の重要性の再認識
皇室と国民の距離を縮める効果
女性皇族として初めて海外で博士号を取得したという事実は、性別や立場を超えて夢を追求することの大切さを示しています。また、日本文化を研究するために海外に出る必要性を示したことで、グローバルな視点での文化研究の重要性も再認識されました。
読者からは「皇族の方が、これほど率直に自身の経験を語られた本書は、皇室への理解を深める貴重な機会となっている」という評価も寄せられています。特に若い世代からは「自分の夢を追いかける勇気をもらった」という声も多く、世代を超えた共感を呼んでいます。
一方で、本書は単なる成功物語ではありません。研究の困難さや、文化の違いに戸惑うエピソード、そして時には挫折しそうになる場面も率直に描かれており、そのリアリティが読者の心を掴んでいます。
「プリンセスの留学記」という切り口で話題となった本書ですが、実際に読んでみると、ひとりの研究者としての真摯な姿勢と、人間としての成長の記録として、深い感動を呼ぶ作品となっています。
皇族の新しい可能性を示した『赤と青のガウン』が教える夢への挑戦【総括】
2015年の単行本刊行後、SNSでバズり2024年に文庫化が実現
6年間のオックスフォード留学で得た貴重な経験を克明に記録
女性皇族として初の海外博士号取得という快挙
日本美術研究への情熱と探究心が随所に表れる
厳しい指導教授との関係や研究の苦労を率直に描写
エリザベス女王との謁見など、皇族ならではのエピソード
格安航空券での移動など、等身大の留学生活も垣間見える
文章力とユーモアセンスで読者を魅了
皇室と一般国民の距離を縮める効果
現在も京都を拠点に日本文化の研究・伝承に尽力
多くの若者に夢への挑戦を促すメッセージ性
世代を超えた共感を呼ぶ留学記として高い評価
夢を追いかけることに、年齢も性別も立場も関係ありません。彬子女王の6年間の留学体験は、私たちに新しい一歩を踏み出す勇気を与えてくれます。
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