「干し芋を手作りするなら、市販品のようなプロ級の美味しさに仕上げたい!」
「オーブンを使う方法をよく見かけるけれど、本当にそれで美味しくできるの?」
…と思っている方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、家庭で美味しい干し芋を作るなら、炊飯器で蒸してからフードドライヤーで乾燥させるのがベストな方法です。
昔ながらの「天日干し」は天候に左右されることが多いですし、衛生状態が気になる方も少なくないでしょう。さらに急に気温が高くなる日があると芋が変質するため、温度のアップダウンにも気を遣う必要があります。
オーブンでは温度が高すぎることが干し芋づくりには最大のネックなうえに、実はオーブンは乾燥作業が苦手。それに、そもそもオーブンに入れて出来上がるのは、干し芋ではありません。焼き芋です。
また、電子レンジの使用では、さつまいもの甘みを引き出す酵素の働きを妨げてしまいます。500W以上で加熱し続けるとまずくなる(=甘くならない)ので、おすすめできません。
電子レンジは200W加熱との併用なら、時間を計って行えばうまくいく方法もあるにはあるのですが、失敗も多く、神経を遣って面倒なので、このブログではおすすめしません。
さらに、ネットでよく見かける「干さない干し芋」…これは干し芋ではなく、ふかし芋・ゆで芋・焼き芋などです。それでもおいしくいただけますが、干し芋のような甘みの凝縮はないので、物足りなさを感じる人も多いはず。
この記事では、炊飯器とフードドライヤーを使って、プロ顔負けの干し芋を作るための方法を詳しく解説していきます。サツマイモの品種選びから、加熱方法、乾燥時間による食感の違いまで、失敗しないポイントをわかりやすくお伝えします。
甘みを引き出す炊飯器での蒸し方
フードドライヤーでの低温乾燥のコツ
お好みの食感に仕上げるための乾燥時間
長期保存のための保存方法
干し芋作りはフードドライヤーが最適!オーブンでは焼き芋になってしまう理由
干し芋を美味しく作るためには、低温でじっくり乾燥させることがとても大切です。フードドライヤーならオーブン(100度以上)と違って40度前後の低温設定が可能なため、サツマイモ本来の甘みを損なわずに仕上げることができます。
フードドライヤーなら低温乾燥で甘みを凝縮できる
フードドライヤーには、以下のような特徴があります。
35~70℃の低温設定が可能
温風が均一に循環
長時間の連続運転に対応
フードドライヤーは温度管理が正確にできる専用機器です。サツマイモの甘みを最大限に引き出すには、35~70℃の低温でじっくりと乾燥させることが重要です。
また、庫内に温風が均一に行き渡るため、ムラなく乾燥できます。12~24時間という長時間の運転も安全に行えるため、理想的な干し芋作りが可能になります。
オーブンよりフードドライヤーの方が経済的
オーブンと比べたフードドライヤーのメリットは
消費電力が少なく省エネ
焦げる心配がない
均一な仕上がり
一般的なオーブンは最低温度が100℃前後と高く、サツマイモが焦げやすい上に電気代もかさみます。また、熱の偏りで均一な乾燥が難しく、「干し芋」ではなく「焼き芋」の仕上がりになってしまいます。
フードドライヤーなら、低温でじっくり乾燥できるため、電気代を抑えながら美味しい干し芋を作ることができるのです。
電子レンジ加熱はNG!炊飯器で蒸すのがおすすめ
干し芋作りでは、サツマイモの加熱方法が甘みを左右する重要なポイントです。電子レンジは短時間で加熱できる便利な調理器具ですが、急激な加熱は甘みを引き出す酵素の働きを妨げてしまいます。
βアミラーゼの働きと最適温度
サツマイモの甘みを引き出すために重要な酵素について解説します。
60~70度が酵素の最適温度
急激な加熱で酵素が失活する
ゆっくり加熱することで糖度アップ
βアミラーゼという酵素は、サツマイモのデンプンを糖に変える働きをします。この酵素は60~70度の温度帯で最も活発に働きますが、電子レンジのような急激な加熱では、酵素が十分に働く前に失活してしまいます。そのため、時間をかけてゆっくり加熱することで、より甘い干し芋を作ることができるのです。
甘みを引き出す加熱のコツ
サツマイモを美味しく加熱するためのポイントをご紹介します。
70~80度でじっくり加熱
皮付きのまま蒸す
竹串がスッと通るまで
サツマイモは70~80度の温度帯を維持しながら加熱することで、デンプンから糖への変換が最も活発に行われます。また、皮付きのまま蒸すことで旨味や栄養素が逃げにくくなります。
加熱具合は竹串を刺して確認し、スッと通るまでじっくり蒸すことで、しっとりとした食感と十分な甘みを引き出すことができます。電子レンジは便利ですが、干し芋作りには向いていないことを覚えておきましょう。
炊飯器で干し芋用のさつまいもを蒸す方法とコツ
炊飯器を使ってサツマイモを蒸す場合、水加減や蒸し方でできあがりが大きく変わります。玄米モードを使うことで、βアミラーゼが活性化する温度帯をキープしやすく、甘みのある干し芋を作ることができます。
炊飯器の水加減のポイント
お好みの食感に仕上げるための水加減をご紹介します。
ねっとり食感:サツマイモの高さの1/2まで水を入れる
ほくほく食感:サツマイモの高さの1/4~1/3まで水を入れる
5合炊き炊飯器なら中サイズの芋2~3本が目安
水加減は仕上がりの食感を決める重要なポイントです。たとえば、ねっとりとした食感がお好みの場合は、サツマイモの高さの半分まで水を入れます。反対に、ほくほくした食感がお好みなら、1/4~1/3程度の水量に抑えましょう。入れすぎると芋がベチャッとしてしまうので注意が必要です。
玄米モードでじっくり加熱する理由
玄米モードを選ぶ理由について詳しく解説します。
低温でゆっくり加熱が可能
βアミラーゼの活性化に最適
芋全体に均一に熱が通る
玄米モードは通常の炊飯モードと比べて、低温でじっくりと加熱できます。この特徴は、サツマイモの甘みを引き出すβアミラーゼの働きを最大限に活かすことができます。また、ゆっくりと加熱されるため、芋の中心まで均一に火が通りやすいのです。
しっとりとした食感に仕上げるコツ
美味しい干し芋を作るための蒸し方のポイントです。
皮付きのまま丸ごと蒸す
サツマイモは重ねない
蒸し上がり後は10分程度蒸らす
サツマイモは皮付きのまま丸ごと蒸すことで、うま味と栄養を逃がさず、しっとりとした食感に仕上がります。炊飯器に入れる際は、サツマイモをあまり重ねすぎないようにして、蒸気が均一に当たるようにしましょう。
また、炊き上がった後は10分程度蒸らすことで、より滑らかでしっとりとした食感になります。大きなサツマイモは2~3等分にカットしてから入れることで、中心まで均一に火が通りやすくなります。
フードドライヤーで干し芋を作る基本の手順
フードドライヤーを使った干し芋作りでは、乾燥時間によって食感が大きく変わります。お好みの食感に仕上げるためには、温度設定と乾燥時間の調整が重要です。また、トレイの並べ方や温度管理にも気を配る必要があります。
おおむねの乾燥時間と食感の関係
乾燥時間による仕上がりの違いをご紹介します。
6時間:もっちり半生タイプ(40度設定)
12時間:しっとり標準タイプ(50度設定)
18時間以上:カリカリタイプ(50度設定)
半生タイプは、40度の低温で6時間ほど乾燥させることで、もっちりとした食感に仕上がります。子どもや歯の弱い方にもおすすめです。
12時間乾燥させると、しっとりとした食感で干し芋本来の美味しさを楽しめます。18時間以上乾燥させれば、カリカリとした食感で長期保存も可能になります。
トレイの並べ方と温度管理
均一な仕上がりにするためのポイントです。
7~8ミリ厚さで均一にカット
芋同士が重ならないよう配置
トレイの位置を途中で入れ替える
サツマイモは7~8ミリの均一な厚さにカットすることで、乾燥ムラを防ぐことができます。
トレイに並べる際は、芋同士が重ならないよう間隔を空けて配置しましょう。
また、フードドライヤーは下段のトレイの方が温度が高くなる傾向があるため、途中でトレイの上下を入れ替えることで、より均一な仕上がりになります。
保存方法と日持ちの目安
乾燥具合による保存期間の違いをご説明します。
半生タイプ:冷蔵で2~3日以内
標準タイプ:冷蔵で1週間程度
カリカリタイプ:冷蔵で2週間程度
保存期間は乾燥具合によって大きく異なります。半生タイプは水分が多いため、冷蔵庫でも2~3日程度しか持ちません。標準タイプは1週間程度、カリカリタイプは2週間程度の保存が可能です。
長期保存したい場合は、1切れずつラップで包んで冷凍保存することをおすすめします。冷凍なら1ヶ月程度おいしく保存できます。
さつまいもの種類・熟成度合い・切り方で変わる仕上がりのポイント
美味しい干し芋を作るには、サツマイモの品種選びと切り方が重要です。品種によって糖度や食感が異なり、切り方によってもできあがりの食感が大きく変わってきます。ここでは、失敗しない干し芋作りのコツをご紹介します。
干し芋に適した品種選び
干し芋作りに向いているサツマイモの特徴です。
紅はるかやシルクスイートがおすすめ
収穫から2週間程度熟成させたもの
表面がなめらかで傷のないもの
紅はるかは糖度が高く、しっとりとした食感に仕上がりやすい品種です。さらに、収穫から2週間ほど常温で保管し、熟成させたサツマイモを使うと、より甘みが増した干し芋を作ることができます。
購入時は「熟成」や「完熟」と表示されているものを選ぶと、より美味しい仕上がりが期待できます。
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繊維に沿った切り方でねっとり食感に
サツマイモの切り方による食感の違いについて解説します。
繊維に沿って切ることで滑らかな食感に
輪切りは表面がザラザラしやすい
繊維方向の切り方で乾燥効率アップ
サツマイモを繊維に沿って切ることで、繊維構造が保たれ、滑らかな食感が得られます。反対に、輪切りにすると繊維を断ち切ることになり、表面がザラザラした食感になってしまいます。また、繊維に沿って切ることで、水分が効率的に蒸発しやすくなり、乾燥時間も短縮できます。
厚さを均一にする重要性
均一な仕上がりにするためのカット方法です。
7~8ミリ厚さを目安に
スライサーの活用がおすすめ
薄すぎると乾燥後にパリパリに
サツマイモは7~8ミリの均一な厚さにカットすることが重要です。薄すぎると乾燥後にパリパリになってしまい、厚すぎると乾燥ムラができやすくなります。手作業での均一なカットは難しいため、専用のスライサーを使うと便利です。均一な厚さにカットすることで、干し芋全体が同じ食感に仕上がり、プロ級の仕上がりを実現できます。
フードドライヤーの干し芋なら低温乾燥が可能!美味しさと食感を引き出す極意【総括】
フードドライヤーは35~70℃の低温乾燥が可能で、サツマイモの甘みを凝縮
オーブンは100℃以上と高温のため、干し芋ではなく焼き芋になってしまう
電子レンジ加熱は酵素の働きを妨げるためNG
炊飯器は玄米モードでじっくり蒸すのがベスト
水加減で食感を調整可能(ねっとり:1/2、ほくほく:1/4~1/3)
さつまいもは7~8ミリ厚さの均一カットが重要
繊維に沿って切ることで滑らかな食感に
乾燥6時間で半生、12時間で標準、18時間以上でカリカリ食感
トレイは途中で上下を入れ替えて均一に乾燥
紅はるかなど糖度の高い品種を選ぶ
収穫から2週間程度熟成させた芋がベスト
半生タイプは3日、標準タイプは1週間、カリカリタイプは2週間保存可能
長期保存は冷凍がおすすめ
フードドライヤーを使えば、ご家庭でも手軽に干し芋作りを楽しむことができます。天候を気にせず、衛生的に、しかも温度管理も正確にできるため、プロ級の仕上がりも夢ではありません。美味しい干し芋作りにチャレンジしてみてください。