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ジャニー喜多川の功罪とアイドル帝国崩壊の実像【NHKスペシャル】

事件簿
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ジャニー喜多川氏は、日本の芸能界に革命をもたらしたです。男性アイドルグループという新しいジャンルを確立し、SMAPや嵐などの国民的スターを生み出しました。その一方で、長年にわたる性的虐待問題も明らかになり、芸能界に大きな波紋を投げかけました。

この記事では、ジャニー喜多川氏の生涯と功罪、そしてその影響について紹介された「」2024年10月21日放送の内容をかいつまんで紹介します。

ジャニー喜多川の生い立ちとジャニーズ事務所設立の経緯
ジャニーズ事務所の成功と芸能界への影響力
性的虐待問題の実態と被害者の証言
ジャニーズ事務所解散後の対応と課題

ジャニー喜多川の生い立ちと事務所設立

ジャニー喜多川氏は、1931年にアメリカ・ロサンゼルスで生まれ。日本で疎開生活を送った後、ジャニーズ事務所を設立し、日本の芸能界に大きな影響を与えました。その人生は波乱に満ちており、芸能界の巨人としての成功と、深刻な問題の両面を持っています。

ロサンゼルス生まれから日本での疎開生活

1931年、日本人の両親のもとアメリカ・ロサンゼルスで誕生
4歳上の姉メリー喜多川氏がいた(2021年・没)
2歳の時に家族で日本に帰国
太平洋戦争勃発後、和歌山県新宮市勝浦町で疎開生活

戦争により神経をやられたという経験を持つジャニー喜多川氏は、18歳の時に姉のメリー喜多川氏と共に再びアメリカに戻りました。この経験は、後の彼の人生や仕事に大きな影響を与えたと考えられています。

当時の生活について、ジャニー喜多川氏は「決して楽な生活ではなかった」と語っています。日系アメリカ人の社会に同化できず、日本への郷愁も大きかったことが、後の日本帰国の決断につながったと言われています。

ジャニーズ事務所の設立と初期の活動

1952年、朝鮮戦争で徴兵されアメリカ国籍を取得
日本帰国後、の米軍施設ワシントンハイツに居住
近所の子どもたちを集めて野球チームを結成
を見て、アイドルグループのアイデアを得る

ジャニー喜多川氏は、銀座のウエスト・サイド・ステージを見学した際に「かっこいい」と感じ、自身もアイドルグループを作りたいと考えるようになりました。この経験が、後のジャニーズ事務所設立につながる重要な転機となりました。

1962年、ジャニー喜多川氏は知人の紹介で、当時秋元康氏が所属していたタレント養成所の経営者と出会います。この出会いが、ジャニーズ事務所の基盤を作る重要なきっかけとなりました。

男性アイドルグループの発掘と育成

ジャニー喜多川氏の男性アイドル育成の特徴は以下の通りです。

歌って踊るグループを作りたいという強い思い
1962年に初代ジャニーズをプロデュース
当時としては画期的な「歌って踊る少年たち」のコンセプト
タレント発掘の才能の高さ

ジャニー喜多川氏は、時代が求めているものを敏感に感じ取ることに長けていました。たとえばアメリカでローラースケートが流行していると、それを取り入れてジャニーズの少年たちに踊らせるなど(光GENJI)革新的なアイデアを次々と生み出しました。

彼の人を見る目はとても優れており、「普通の人よりも10倍も20倍も優れていた」と評されています。この才能が、多くの成功したアイドルグループの誕生につながりました。

ジャニーズ事務所の成功と影響力

ジャニーズ事務所は、1980年代以降急成長を遂げ、日本の芸能界に大きな影響力を持つようになりました。その成功の背景には、国民的人気グループの輩出やテレビ業界との密接な関係がありました。

国民的人気グループの輩出

1987年デビューの光GENJI  SMAP 嵐 などの成功により、ジャニーズ事務所の申告所得は飛躍的に伸びたと言われます。

1980年には1億円に満たなかったものが、1987年に光GENJI(ヒカルゲンジ)がデビューすると申告所得が30億円を突破。さらにSMAPや嵐など人気グループを次々と育成し、最後に公表された2005年には1400億円を超えています。

テレビ業界との密接な関係

ジャニーズ事務所とテレビ業界の関係性は以下のようなものでした。

テレビ局にとって視聴率を取れる貴重な存在
歌番組、、バラエティなど幅広いジャンルで活躍
NHK紅白歌合戦への連続出場

特にNHKとの関係が深く、2015年の紅白歌合戦では過去最多の7組が出場するなど、公共放送においても大きな存在感を示しました。

この関係について、あるテレビ局OBはこう語っています。

視聴率を持っているから、歌番組に出せば勝てる、ドラマに出したら人気が出る、バラエティに出しても面白い。これはテレビ局にとってはもうお宝です。

ギネス世界記録認定の実績

ジャニー喜多川氏の実績は以下の通りです。

最も多くのナンバーワンシングルをプロデュース
最も多くのコンサートをプロデュース
上記2つの実績でギネス世界記録に認定

これらの実績は、ジャニー喜多川氏の音楽プロデューサーとしての才能と、芸能界での影響力の大きさを示すものとなりました。彼の才能は、単にアイドルを育成するだけでなく、彼らの音楽活動全般にわたって発揮されていたことがわかります。

ジャニー喜多川の性的虐待問題

ジャニー喜多川氏の輝かしい実績の陰で、長年にわたる性的虐待問題が存在していました。この問題は、元所属タレントの告発や被害者の証言により明らかになりましたが、長らく隠蔽されてきた経緯があります。

元所属タレントによる告発

性的虐待問題の経緯は以下の通りです。

1980年代後半から元所属タレントが書籍で告発
 それでも長年、大きく取り上げられることはなかった
2023年3月、イギリスBBCの報道をきっかけに再注目

BBCの報道後、多くの元所属タレントがこの問題に対して次々と声を上げ、問題の深刻さが改めて認識されるようになりました。

1999年には週刊文春が14回にわたる連載で、ジャニーズ事務所の問題点を詳細に報じました。この時、事務所側との話し合いも持たれましたが、根本的な解決には至りませんでした。

被害者の証言と心の傷

被害者の証言からは、以下のような実態が明らかになりました。

14歳頃から2年間で200回以上の被害を受けたケースも
自宅に呼ばれて被害に遭うことが多かった
心療内科に通うなど、深刻な心の傷を負う
表面上は笑顔でいることが身についた「技」だった(口元は笑っているが、目が死んでいる)

故・中谷良平さんのように、裁判で真実を語ることができず、長年苦しんできた被害者も多く存在します。中谷さんはこう証言しています。

ジャニーさんはズボンの上から○○を触ってきたんです。倦怠感と虚無感に襲われながら、恐怖も感じてきた。本当に悲しい体験だった。

メリー喜多川による隠蔽疑惑

この問題の隠蔽に関しては、以下のような疑惑が浮上しています。

メリー喜多川氏による問題の隠蔽
週刊文春との話し合いの際、一度は辞任を提案するも翻意
ジャニー喜多川を辞めさせることを一度は提案したが、「見殺しにできない」という理由で翻意

この隠蔽により、被害が拡大し、長年にわたって問題が表面化しなかったとされています。ある関係者は

会社はメリーさんとジャニーさんの会社だから、2人が決めることが全てなんです

と語っており、この構造が問題の長期化を招いた一因とも考えられています。

ジャニーズ事務所解散後の対応

ジャニー喜多川氏の死後、性的虐待問題が大きく取り上げられるようになり、ジャニーズ事務所は解散を余儀なくされました。その後、新会社として再出発を図りましたが、被害者への対応には多くの課題が残されています。

スマイルアップへの社名変更

ジャニーズ事務所の解散後の動きは以下の通りです。

ジャニーズ事務所が解散
新会社「スマイルアップ」として再出発
被害者の救済を最優先課題として掲げる

しかし、社名変更だけでは問題の本質的な解決には至らず、具体的な対応が求められています。スマイルアップは「被害者の方々の救済、それを推進していくことが全ての出発点だと考えます」と述べていますが、具体的な行動計画はあまり明らかになっていません。

被害者への補償問題

被害者への補償に関しては、以下のような問題が浮上しています。

「暴露本」を出版した被害者への補償を巡る議論
被害者の家族による補償申請の困難さ
補償対象の基準が不明確

スマイルアップは「暴露本を出版したことをもって補償対象としない方針はない」としていますが、具体的な補償の進め方については課題が残されています。

中谷良平さんの姉は、「少しでも良平(被害者)の気持ちを晴らしたいなって思う。それは私にしかできない」と語り、弟の代わりに補償を申請しましたが、その過程で多くの困難に直面しました(中谷さんが暴露本を出版していたため)

謝罪と救済に関する課題

謝罪と救済に関しては、以下のような課題が指摘されています

誰が何を謝罪するのかが不明確
被害者への具体的な謝罪の方法が示されていない
金銭的補償以外の救済策の必要性

被害者やその家族は、単なる金銭的補償だけでなく、心からの謝罪と具体的な救済策を求めています。

中谷良平さんの姉は「お金はいいんですよ。どういう謝り方をしていただけるのかなと思って。それがすごく気になる」と語っており、謝罪の形や内容についても大きな関心が寄せられています。

これらの課題にどう対応していくかが、今後の大きな焦点となっています。単に金銭的な問題として扱うのではなく、被害者の心の傷を癒し、彼らの人生を支援していくような総合的なアプローチが求められています。

ジャニー喜多川の功罪と芸能界への影響【総括】

 ジャニー喜多川氏は男性アイドルグループ育成の先駆者
国民的人気グループを多数輩出
テレビ業界との密接な関係構築
ギネス世界記録に認定される実績
長年にわたる性的虐待問題の存在
被害者の深刻な心の傷
問題の隠蔽と放置
事務所解散後の対応の不十分さ
被害者への補償と救済の課題
芸能界のパワーバランスへの影響
アイドル育成システムの在り方への問い
メディアの報道姿勢と社会の認識変化
芸能界の健全化に向けた取り組みの必要性

ジャニー喜多川氏の功罪と芸能界への影響は、今後も長く議論され続けると思われます。

彼が日本の芸能界に与えた影響は計り知れません。男性アイドルグループという新しいジャンルを確立し、多くの国民的スターを生み出したことは、日本の大衆文化に大きな足跡を残しました。

その一方で、長年にわたる性的虐待問題は、芸能界の闇の部分を浮き彫りにしました。この問題は、単にひとりの人物の問題ではなく、芸能界全体の構造的な問題を示唆しています。権力者による若者の搾取、問題を隠蔽する業界の体質、そしてそれを見過ごしてきた社会の在り方など、多くの課題が浮き彫りになりました。

また、この問題は、メディアの在り方にも一石を投じました。長年、多くのメディアがこの問題を深く掘り下げることを避けてきた背景には、ジャニーズ事務所の影響力の大きさがあったと指摘されています。今回の一連の出来事は、メディアの独立性と社会的責任について、改めて考える機会となりました。

さらに、アイドル育成システムの在り方についても、根本的な見直しが求められています。才能ある若者を発掘し、育成することの意義は大きいものの、そのプロセスにおいて人権や個人の尊厳が守られることが絶対的に必要です。今後、より健全で透明性の高いアイドル育成の仕組みを構築していくことが、業界全体の課題となるはずです。

被害者への対応も、今後長く続く重要な課題です。単なる金銭的補償だけでなく、彼らの心の傷を癒し、人生を再建していくための総合的な支援が必要とされています。また、二度とこのような被害が起こらないよう、業界全体で再発防止策を講じていくことも重要です。

芸能界の健全化は、単に業界だけの問題ではなく、社会全体で取り組むべき重要な課題です。

【2024-10-26追記】SMILE-UP.が補償本部長を解任

SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)は26日までに公式サイトを更新し、創業者・故ジャニー喜多川氏による性加害の被害補償にあたっていた補償本部長を解任したと発表した。同本部長は今月20日放送『NHKスペシャル』において、同社最初のアイドルグループ・ジャニーズの元メンバーである故中谷良さんの姉との電話でのやり取りをめぐり、批判を集めていた。

中谷さんはかつて書籍でジャニー氏から性被害を受けたことを告発していた。しかし、旧ジャニーズ事務所が同氏の性加害を認める前に死亡。番組では、中谷さんの姉が被害を受けた弟への謝罪を電話で求めたのに対し、補償本部長が「誰が何を謝るんだというのが、ちょっと、今、分からなくて。本人たちが死んじゃっているんで」「本を書かれて痛めつけられたのは間違いないんで。会社としては、すごくつらい目にあったのは間違いないんで」「心の底からお詫びができない」などと返答する音声が放送された。番組ではその後、東山紀之社長が遺族に謝罪したとナレーションで伝えた。

その状況を踏まえ、SMILE-UP.は「報道にございましたとおり、被害にあわれた方のご関係者から、亡くなったご本人への謝罪を求めるお話があり、弊社社長東山紀之にて本年9月にご遺族にお会いして謝罪しております。また、今回の報道後にも、弊社社長東山紀之にて、ご関係者様に、改めて謝罪をしております」と説明した。

そして、「補償本部長を解任したことを今回の報道により、これまでに補償を終えられた皆さまをはじめ、被害者救済委員会をはじめとする弊社の補償業務にご協力いただいている方々など、ご関係の皆さまにご心配をおかけしたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪。続けて「弊社は本件を重く受け止め、補償業務体制の一部を変更すべく、当該補償本部長の任を解くと共に新たに補償本部長を任命し、補償本部における業務の実施体制を見直すことといたしました。弊社は、新体制の下に、あらためて被害にあわれた方々に寄り添っていくという決意を胸に、被害救済に最後まで全力を尽くして取り組んでまいります」としている。

補償本部長の対応については、放送直後からネット上で「返答が雑過ぎる」「遺族に対して非礼だ」「酷すぎる」などの批判が噴出。また、今回の解任発表には「批判されたから解任したにすぎない」「後出し対応」「解任が少しでも被害者の方々の心のケアにつながることを願います」などの声が上がっている。 via:https://encount.press/

 

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