クジャクのダンス誰が見た3巻では、染田の不審死という衝撃的な展開を迎えます。手紙の真相に迫る重要な証言者の死は、事件の闇がさらに深まっていく予感を読者に与えています。
3巻では手紙の偽装疑惑から始まり、春生と遠藤友哉の対話動画の発見、そして重要証言者の不審死まで、次々と新たな展開が明らかになっていきます。
染田の過去と手紙偽装の真相
春生が遠藤友哉に謝罪した理由
染田の不審死が示唆する事件の闇
特に注目すべきは、染田の最期の言葉「約束が違う」の真意です。これらの謎は、事件の核心に関わる重要な手がかりとなっています。
作品の基本情報
クジャクのダンス、誰が見た?は、本格クライムサスペンス漫画です。事件の真相に迫る展開と緻密な人間ドラマで多くの読者を魅了しています。
タイトル:クジャクのダンス、誰が見た?
作者:浅見理都
出版社:講談社
連載:講談社の女性漫画誌『Kiss』にて2022年から連載中
発売状況:既刊5巻(2024年11月時点)6巻は2024年11月13日発売予定
これまでのあらすじ
2022年12月24日、クリスマスイブの雪の降る夜。主人公の山下心麦は、父親の山下春生が自宅で殺害され、放火されるという悲劇に見舞われます。容疑者として逮捕されたのは、春生が20年前に担当した東賀山事件の死刑囚・遠藤力郎の息子である遠藤友哉でした。
事件から数日後、心麦は父の行きつけだったラーメン屋台の店主・染田進から封筒を受け取ります。中には300万円の現金と1通の手紙が入っていました。手紙には、もし自分が殺された場合に容疑者として逮捕される可能性のある6人の名前が記されており、「その人物が逮捕されたら、それは冤罪である」という衝撃的な内容が書かれていました。
さらに手紙には、弁護を依頼すべき弁護士として松風義輝の名前が指定されていました。当初、松風は依頼を断ろうとしましたが、心麦の真摯な態度に心を動かされ、協力を決意。心麦は松風法律事務所でアルバイトを始めることになります。
その後、週刊誌記者の神井によってDNA鑑定の衝撃的な結果が明らかに。心麦と伯母の間に血縁関係がないことが判明します。にわかに心麦の出生に関する謎が浮上してきました。
一方で、20年前の東賀山事件の真相も気になります。この事件では地元の資産家・林川一家6人が殺害され、遠藤力郎が犯人として死刑判決を受けていました。しかし、春生は死の直前、遠藤力郎が真犯人ではないという確信を得ていたようです。
事件の捜査を担当する警視庁捜査一課係長の赤沢は、春生の元同僚として心麦を気遣う一方で、不可解な行動も見せています。また、遠藤友哉の逮捕・起訴を担当する阿南検事も、誰かと密かに連絡を取り合うなど、不審な動きが目立ちます。
3巻の登場人物
警察組織や法曹界など、様々な立場の人物たちが事件の真相に関わっています。それぞれが複雑な思惑を抱え、その関係性が物語の謎を深めていきます。特に3巻では、染田進という重要人物の過去と現在が大きくクローズアップされています。
主要な登場人物たち
山下心麦:父の死の真相を追う女子大生。松風法律事務所でアルバイトを始める
染田進:重要な手紙を預かっていたラーメン屋台の店主。過去に偽造事件で逮捕歴あり
松風義輝:心麦の依頼を受けた弁護士。事件の真相解明に協力する
これらの人物を中心に、3巻では新たな事実が次々と明らかになっていきます。特に染田は、春生との深い因縁を持つ人物として描かれます。過去に春生の取り調べを受けた経験があり、その際の春生の人情味のある対応に心を打たれていたことが語られています。
捜査に関わる人物たち
赤沢正:警視庁捜査一課係長。春生の元同僚として捜査を指揮
神井孝:週刊誌記者。春生と遠藤友哉の対話を収めた重要な動画を所持
阿南検事:遠藤友哉の逮捕・起訴を担当。不審な行動が目立つ
捜査陣の中でも、特に赤沢の動きが注目を集めています。表向きは心麦を気遣う態度を見せながらも、その行動には一種の違和感が漂います。春生の元同僚でありながら、どこか本心を隠しているような印象を与えています。
3巻のネタバレあらすじ
3巻では、手紙の真偽を巡る疑惑から始まり、重要な証言者の死という衝撃的な展開まで、事件の様相が大きく変化していきます。特に染田を取り巻く状況が、物語の中心となっています。
手紙の偽装疑惑浮上
染田の過去の偽造事件が発覚
警察による任意同行と取り調べ
予想外の自白
染田の過去が明らかになります。かつて野球選手のサインを偽造して利益を得ていた過去が発覚し、その際の取り調べを担当したのが春生でした。春生は厳しく取り調べながらも、染田の更生を信じて温かい言葉をかけていたといいます。
その後、染田は警察に任意同行を求められます。取調室に入る直前、廊下ですれ違った遠藤友哉と目が合った直後、突如として「手紙を偽装した」と自白します。この急な展開に、取調官も驚きを隠せない様子でした。
衝撃の動画公開
神井が所持する春生と遠藤友哉の対話映像
春生による東賀山事件の真相への言及
遠藤力郎の冤罪の可能性
週刊誌記者の神井が所持していた動画には、衝撃的な映像が収められていました。喫茶店での対話シーンで、春生は遠藤友哉に対して深く頭を下げ、「申し訳ないことをした」「とんでもないことをしてしまいました」と謝罪します。
その内容は、遠藤友哉の父である力郎が、東賀山事件の真犯人ではないという事実に関するものでした。春生は「現在、独自に確証を得ようと動いている段階だ」と語り、事件の真相解明に向けて動いていたことが明らかになります。
この動画の存在により、春生殺害事件と東賀山事件の関連性がより強く示唆されることになりました。神井は「春生さんは東賀山事件の真犯人に辿り着いていた可能性が高い」と分析しています。
染田の最期
心麦の説得を受けて、松風弁護士への相談を決意
心麦との最後の会話
突然の死
警察での取り調べ後、染田の様子が急変。謎の電話の相手に「言われた通りにやったのに話が違う」と焦りの表情を見せる場面が描かれます。そこへ偶然通りかかった心麦に、染田は罪悪感からか涙ながらに、警察でうその証言をしてしまったことを告白。
「金欲しさに山下さんを裏切ってしまった」という染田の言葉に、心麦は松風弁護士と一緒に警察へ行くことを提案します。しかし、心麦が松風を呼びに行っている間に、染田は姿を消してしまいます。
その後、染田は河川敷で倒れているところを発見され、病院へ搬送されますが死亡が確認されます。
3巻の感想と考察
3巻では、事件の真相に近づくほどに新たな謎が浮かび上がり、登場人物たちの関係性がより複雑になっていきます。特に染田の死という衝撃的な展開により、事件の闇の深さが際立っています。
謎が深まる人物たち
染田の自白の真意
赤沢の不可解な態度
阿南検事の裏の顔
染田の突然の自白には、誰かからの圧力が働いていた可能性が高いと考えられます。取調室に入る直前に遠藤友哉と目が合った瞬間に態度が一変したことや、その後の「約束が違う」という言葉から、何らかの取引があったことが示唆されています。
また、赤沢の行動にも不自然な点が目立ちます。特に、染田の死を伝えた際の態度は冷たく、まるで心麦の追及を封じ込めようとしているかのようでした。
阿南検事も、表の顔とは異なる一面を見せています。遠藤友哉の逮捕・起訴を急ぐ姿勢や、誰かと密かに連絡を取り合う様子など、通常の検事としての態度とは思えない行動が散見されます。
浮かび上がる事件の背景
東賀山事件との繋がり
警察組織内部の問題
遠藤親子の冤罪疑惑
春生が残した動画により、東賀山事件の真相がより複雑なものであることが明らかになってきました。春生は独自の調査により、遠藤力郎の冤罪を確信するに至った可能性があります。そして、その事実を誰かに揉み消されないよう、様々な手段を講じていたと考えられます。
警察組織内部にも、何らかの闇が潜んでいることが示唆されています。染田への圧力、赤沢の不可解な行動、そして阿南検事の動きなど、すべてが組織的な動きを感じさせます。春生はその闇に気づき、命を狙われることになったのでは!?
深まる事件の闇
染田死亡の真相
手紙偽装の真相
赤沢の本当の立場
染田の死は、その直前の状況を考えると不自然な点が多く見られます。特に、松風弁護士との面会を前に姿を消したタイミングは、誰かに口封じされた可能性を強く示唆しています。
手紙の偽装問題についても、真相はまだ見えていません。染田は自白の前に誰かと電話で話しており、その内容から何らかの取引があったことが推測されます。しかし、その自白が本当だったのかどうかは、染田の死によって確認することができなくなってしまいました。
3巻は、事件の真相に近づくほど深まる謎と、失われていく証言者の命という、サスペンス作品として見事な展開を見せています。特に染田の死は、この事件の背後に潜む大きな闇を予感させる重要な転換点となりました。
春生が遺した手紙の真偽、東賀山事件との関連性、そして警察組織の内部に潜む闇。すべての謎が複雑に絡み合い、真実への道のりはさらに困難さを増しています。心麦と松風弁護士の前に立ちはだかる壁は、想像以上に高く、そして厚いものとなっているようです。