この記事の続きで 『クジャクのダンス、誰が見た?』5巻のネタバレと感想をご紹介します。
父を亡くした心麦の真相追求が新たな展開を見せる中、重要な登場人物たちの動向に注目が集まっています。阿南検事による取り調べ、染田の死の真相、そして新たな協力者・鳴川弁護士の登場によって、物語は予想外の方向へと進んでいきます。
・鳴川弁護士の謎めいた真意と行動
・津寺井邸での衝撃的な展開
・林川歌を巡る新たな疑惑の浮上
#今日買った漫画
クジャクのダンス、誰が見た? 5発売日に買いに行ったけどなくて取り寄せしてもらいました pic.twitter.com/4ShD6mmmmo
— gumi (@gumi_photo) April 21, 2024
特に注目すべきは、心麦の出生の謎に迫る重要な伏線の数々です。染田の死の真相から、津寺井の不可解な行動、そして鳴川弁護士の突然の協力申し出まで、全ての出来事が20年前の事件と現在の事件を繋ぐ重要な鍵となっています。
作品の基本情報
・作者:浅見理都
・出版社:講談社
・連載:講談社の女性漫画誌『Kiss』にて2022年から連載中
・単行本:既刊5巻(2024年11月時点)
・6巻は2024年11月13日発売予定
本作品は、父親を殺された女子大生が真相を追う中で、20年前の未解決事件との繋がりや、自身の出生の謎に直面していく本格サスペンス作品です。緻密な伏線と丁寧な人物描写により、単なるミステリーを超えた深みのある物語として評価されています。
法曹界や警察組織の内部を描く際には、現役の法律家や警察関係者による監修を受けており、リアリティのある展開も本作品の特徴となっています。特に5巻では、検察による取り調べのシーンが重要な位置を占めており、その描写の正確さは多くの読者から支持を得ています。
これまでのあらすじ
2022年12月24日のクリスマスイブ、主人公・山下心麦は映画館から帰宅した際、自宅の放火と父・春生の死に遭遇します。容疑者として逮捕されたのは、父が警察官時代に担当した殺人事件の死刑囚の息子・遠藤友哉でした。しかし父からの遺された手紙には、遠藤友哉が逮捕された場合は冤罪だと書かれており、心麦は真相を追うことを決意します。
父の遺言により、弁護士の松風に協力を依頼した心麦は、重要な証言者であるラーメン屋の店主・染田との関係を深めていきました。しかし、染田は突如として警察で「手紙を偽装した」と自白し、その直後に不審な形で亡くなってしまいます。
この事態を受けて、検察は改めて事件の捜査を進めることとなり、阿南検事による心麦への取り調べが行われることになりました。また、心麦自身が20年前の事件の生存者である林川歌ではないかという疑惑も浮上し、物語は新たな展開を見せ始めます。
5巻の登場人物
5巻では、新たな登場人物が加わり、事件の様相が大きく変化していきます。それぞれのキャラクターが持つ背景や思惑が、物語をより複雑で深いものにしています。
新たに登場する重要人物たち
鳴川徹
大阪弁を操る陽気な性格の持ち主として登場します。元検事という経歴を持ち、豊富な実務経験と法曹界での人脈を武器に事件解決へ協力を申し出ます。一見すると気さくで親しみやすい人物ですが、その言動には計算された部分も垣間見え、真意を測りかねる部分も残されています。
津寺井幸太
20年前の東賀山事件で生き残った林川歌を引き取った親戚として登場。常に周囲を警戒するような素振りを見せ、大きな声を極端に嫌うなど、不可解な言動が目立ちます。林川歌がシンガポールに留学中だと主張するものの、その証言の信憑性には疑問が残ります。
阿南由紀検事
染田の死の真相を探るため、心麦への取り調べを担当します。冷静沈着な性格で、的確な質問と心理的な揺さぶりにより、事件の核心に迫ろうとする手腕は一流です。しかし、その鋭い洞察力の中にも、心麦の信念に対する一定の理解を示す人間味も持ち合わせています。
物語の中心を担う人物たち
山下心麦
この5巻で大きな成長を見せます。阿南検事による厳しい取り調べにも動じることなく、父への信頼を貫く強さを見せました。その一方で、自身が林川歌である可能性に向き合う中で、新たな不安も抱えています。
行動力と決意の強さは変わりませんが、より慎重に状況を見極めようとする姿勢も垣間見えます。
松風義輝
鳴川の協力を受け入れる判断を下します。表面上は穏やかな態度を保ちながらも、その背後では父親の失踪事件との関連性を探り、事件の真相に迫ろうとしています。
赤沢正
事件を追う警視庁捜査一課係長として、複雑な立場に置かれています。表向きは心麦に協力的な態度を示しながらも、その真意は測りかねる存在として描かれています。
特に染田の死に関しては、何か重要な情報を握っている可能性が示唆されており、その立場の微妙さが際立っています。
謎の存在・林川歌
20年前の東賀山事件で唯一生き残ったとされる林川歌の存在は、この5巻で物語の重要な軸となっています。津寺井の証言によれば、現在はシンガポールの大学に留学中とのことですが、その真偽は確認できていません。
心麦との誕生日の違いや、津寺井が見せた写真の信憑性など、様々な疑問が残されています。特に注目すべきは、心麦自身が「自分が林川歌なのではないか?」という疑惑に対して、津寺井が見せた反応です。表面上は否定しながらも、その態度には何か重大な秘密を隠しているような様子が感じられました。
5巻のネタバレあらすじ
昨日お迎えした漫画
『クジャクのダンス、誰が見た?』5
阿南検事と心麦の聴取場面の描き方が凄く良い😳
心麦の不安と緊張、検事の言葉を飲み込むようにお茶を飲む仕種…
阿南検事の視線や所作、心麦から思うような供述を引き出せずストレスで腕をギュッとする場面、凄く良かった☺️ pic.twitter.com/1qBgmWayL8— 眠り神💤 (@Guma4646) April 13, 2024
5巻では、心麦への取り調べから始まり、新たな協力者の登場、そして林川歌の存在を巡る謎へと展開していきます。それぞれの場面で重要な伏線が張られ、事件の真相に近づいていく様子が描かれています。
阿南検事による取り調べ
取り調べは、染田の突然の死を受けて行われました。阿南検事は、まず手紙の真偽について質問を投げかけます。心麦が「父が書いたものだと信じています」と答えると、阿南検事は次々と疑問点を指摘していきます。
染田が心麦の幼少期からの知り合いであったこと、春生との思い出話を多く知っていたこと、さらには筆跡を模倣する技術を持っていたことなど、具体的な事実を挙げながら、手紙が偽装された可能性を示唆します。
特に印象的だったのは、染田の薬物使用歴を持ち出した場面です。阿南検事は「染田は今も薬物を使用していました。それをご存じでしたか?」と鋭く問いかけ、心麦の動揺を誘おうとしました。
しかし心麦は、松風から受けた事前のアドバイスを思い出しながら、冷静に対応します。「父が私を信じてくれたから遺したものです」という強い信念を崩すことなく、阿南検事の質問に答え続けました。
この態度に阿南検事も一目置いた様子で、最後には「お父さんを信じるあなたを応援したくなった」という意外な言葉を残します。この言葉には、事件の真相に対する阿南検事自身の何らかの疑念が含まれているようにも感じられますが…!?
新たな協力者・鳴川弁護士の出現
鳴川弁護士の登場は、物語に新たな展開をもたらします。彼は刑事弁護のメーリングリストで松風のメールを見て、自ら事務所を訪れました。元検事という経歴を持ちながら、関西弁で話す明るい性格の持ち主として描かれています。
松風たちに対して、「遠藤友哉は事件を起こしていないと思う」と明言し、その根拠として自身の経験と直感を挙げます。また、春生と同世代であることから、事件に特別な関心を持っているとも語りました。
心麦との初対面では、彼女を松風か波佐見の妹と勘違いするなど、和やかな雰囲気を作り出します。「お嬢」と呼びかけながら気さくに接する姿は、周囲の緊張を和らげる効果をもたらしていました。
しかし、その一方で不可解な部分も残されています。特に、遠藤友哉の無罪を確信する根拠や、突然の協力申し出の真意については、明確な説明がなされていません。
林川歌の存在を巡る展開
物語の後半では、心麦と鳴川が津寺井邸を訪れる重要なシーンが描かれます。当初、津寺井は2人の訪問を強く拒否しようとしましたが、心麦が とあるメッセージを見せたことで、態度を一変させます。
現在の歌について「シンガポールの大学に留学している」と説明し、自身と歌の2ショット写真まで見せて証明しようとします。しかし、この場面で気になる点がいくつか描かれています。
まず、津寺井が極端に大きな声を嫌がり、誰かに聞かれることを過度に警戒する様子。そして、写真を見せる際の落ち着きのない態度。これらの描写は、彼が何かを隠している可能性を強く示唆していました。
特に印象的だったのは、心麦たちが帰った後の場面です。津寺井は誰かに電話をかけ、「言われた通りにしたんだ」「歌のことは大丈夫って言ったじゃないか」と焦りの混じった声で話す姿が描かれました。この不可解な会話は、林川歌を巡る新たな謎を提示する重要な伏線となっています。
5巻の重要な伏線
阿南検事の取り調べの中で、染田の関係者の存在が示唆されます。また、手紙の偽装を自白する直前の不自然な様子と、その後の急死という流れには、何者かの介入を感じさせる描写が散りばめられています。
鳴川弁護士の参加についても、複数の伏線が張られています。彼の豊富な人脈や情報網、そして事件への異常なまでの関心は、単なる正義感からとは思えない要素を含んでいます。
また、津寺井の家での出来事は、林川歌の存在を巡る最大の謎を提示しています。シンガポール留学という説明や、示された写真の真偽、そして誰かとの不審な電話のやり取りなど、全てが新たな謎を投げかけています。特に、写真に写る女性が本当に林川歌なのか、その真偽は今後の展開の鍵を握るポイントとなりそうです。
5巻の感想と考察
『クジャクのダンス、誰が見た?(5)』読んだ。警察官だった父親を殺害された少女が事件の真相に迫るクライムサスペンス。 各人の思惑が交錯し伏線めいた描写が散りばめられたストーリーは良く練り込まれている印象ながら、情報量が多いため細かいところまで物語を理解しようとするのはやや大変。 pic.twitter.com/mvCUiuLTyh
— さつま (@satsuma0122) April 14, 2024
5巻では新たな登場人物の加入と、林川歌を巡る展開により、物語はさらに深みを増していきます。特に各キャラクターの心理描写が丁寧に描かれ、事件の背景にある大きな闇が徐々に浮かび上がってきました。
新キャラクター・鳴川の真意を探る
鳴川弁護士の人物像は非常に興味深く描かれています。関西弁で話す明るい性格は物語に新たな息吹を与え、緊張感の高い展開に適度な緩急をつけることに成功しています。また、元検事という経歴を持ちながら、遠藤友哉の無罪を確信するという立場は、事件の真相に迫る上で重要な視点を提供しています。
しかし、その突然の協力申し出には不自然さも感じられます。特に松風たちに「遠藤友哉は犯人ではない」と伝えた時の表情には、相手の反応を窺うような様子が描かれていました。この描写は、鳴川が単なる協力者以上の立場である可能性を示唆しているように見えます。
法曹界での豊富な人脈と実績という背景も気になる要素です。これらの人脈は事件解決の助けとなる可能性がある一方で、裏で何か別の動きをしている可能性も否定できません。特に、心麦との関係を急速に深めようとする態度には、何か別の目的があるようにも感じられます。
津寺井の不可解な行動の背景
津寺井の描写は、5巻の中でも特に印象的なものとなっています。東賀山事件から20年が経過しているにもかかわらず、彼が示す過剰な警戒心は常識的には理解しがたいものです。大きな声を極端に嫌がり、誰かに聞かれることを異常なまでに警戒する様子は、何か重大な秘密の存在を強く示唆しています。
特に注目すべきは、林川歌とされる人物との2ショット写真の存在です。この写真は一見すると心麦の疑問に決着をつける証拠のように見えますが、いくつかの疑問点が残ります。写真を見せる際の津寺井の落ち着きのない態度や、シンガポール留学という説明の具体性の欠如は、何か別の真相を隠している可能性を感じさせます。
心麦たちが帰った後の不審な電話も重要な伏線となっています。「言われた通りにした」という言葉は、誰かの指示を受けて行動していることを示唆しており、東賀山事件や春生の死に関連する新たな謎の存在を予感させます。
阿南検事の取り調べに見る真相の片鱗
阿南検事による取り調べのシーンは、単なる事実確認以上の深い意味を持つものとして描かれています。彼女は染田の死の真相を探りながらも、心麦の人柄や信念の強さを確かめようとする姿勢を見せます。この描写からは、阿南検事自身も事件の公式見解に何らかの疑問を抱いている可能性が読み取れます。
特に注目すべきは、取り調べ最後の「お父さんを信じるあなたを応援したくなった」という発言です。この言葉には、単なる慰めや同情以上の意味が込められているように感じられます。阿南検事自身が事件の背景に潜む闇の存在に気付いており、心麦の行動に何らかの期待を寄せている可能性も考えられます。
5巻は、心麦の出生の謎に迫る重要な展開が描かれた1冊となりました。特に元検事である鳴川弁護士の参戦は、事件解決への新たな光明となる可能性を感じさせます。
その一方で、津寺井の不可解な行動や、林川歌を巡る謎など、新たな伏線も数多く張られており、物語はより深い謎へと読者を誘います。
次巻で明かされる真実が、心麦たちにどのような影響を与えるのか、そして20年前の事件と現在の事件がどのようにつながっていくのか、目が離せない展開が待っています。心麦と松風たち、そして新たな仲間となった鳴川が、どのように真相に近づいていくのか、今後の展開がより一層楽しみです。